DeFi(分散型金融)の世界では、トークンスワップや流動性提供など、多種多様なサービスが日々進化を続けています。
その中でも大きく注目を集めているのが「DEXアグリゲーター」と「クロスチェーンブリッジ」。
数あるプラットフォームのレートや手数料構造を一括で比較し、可能な限り有利な条件を探してくれるアグリゲーターの活用は、すでにトレーダーの常識となりつつあります。
さらに、複数のブロックチェーンをまたいだ移動や取引をシームレスに行えるブリッジの登場により、ユーザーはチェーンごとの垣根を意識することなく資産を管理できるようになりました。
本記事では、1inch NetworkやParaSwap、0x、KyberSwapなどの代表的なDEXアグリゲーターをはじめ、deBridgeやUniversalXといったクロスチェーン対応プラットフォームまで幅広く取り上げます。
それぞれの対応チェーン、特徴、手数料構造、スリッページ設定、特記事項などを整理し、DeFiユーザーが最適なプラットフォームを選ぶ際のヒントを提供します。
1inch Network:強力なスマートオーダールーティング
1inch Network
https://1inch.io/
「1inch Network」は最も有名なDEXアグリゲーターの一つで、EthereumやBNB Chain、Polygonなど幅広いチェーンに対応しています。
特徴的なのは、独自のスマートオーダールーティング「Pathfinder」による複数のDEXからの自動最適ルート探索です。
分割執行や指値注文にも対応しており、大口注文や価格変動が激しいときにも有利なレートを得やすいのが強みといえます。
- 対応チェーン:Ethereum、BNB Chain、Polygon、Arbitrum、Optimism、Gnosis、Avalancheなど
- 手数料構造:追加のプラットフォーム手数料はなし。各DEX手数料とガス代のみ
- 流動性プロバイダー:Uniswap、SushiSwap、Curve、Balancer、KyberSwapなど500以上
- スリッページ許容:ユーザーが任意に設定(例:0.1%、0.5%、1%など)
- 特記事項:「Fusionモード」によりガス代ゼロでの取引が可能。DAOガバナンスは1INCHトークンで実施
ParaSwap:多チェーン展開と高速実行
「ParaSwap」はEthereumやBSC、Polygon、Arbitrumなど複数チェーンに展開するDEXアグリゲーターです。
複数経路(マルチパス)を活用し、ガストークンや指値注文にも対応するなど、ユーザーに合わせた柔軟な使い方ができます。
独自トークンPSPを保有することでプロトコル収益の分配を受けられたり、ガバナンスに参加できる点も特徴です。
- 対応チェーン:Ethereum、BSC、Polygon、Fantom、Avalanche、Arbitrum、Optimism、Base、zkEVMなど
- 特徴:複数DEXの流動性を分割注文で活用しスリッページを抑制。ガストークンや指値注文など多機能
- 手数料構造:直接的な追加手数料はなく、プロトコル利用料は内包。PSPトークン保有者に収益が分配
- スリッページ:ユーザー設定可能(デフォルトは約0.5%~1%)
- 特記事項:PSPトークンによるガバナンス。高速実行とガス最適化に注力
0x API / Matcha:オフチェーン流動性の活用
0x API
https://v2.0x.org/
「0x」は複数のAMMやオフチェーンのマーケットメーカー(RFQ)を統合し、最適なスワップルートを提供するプロトコルで、そのフロントエンドが「Matcha」です。
大口注文時のMEV対策や分割実行に優れ、新しいチェーンにも積極的に対応を広げている点が魅力です。
- 対応チェーン:Ethereum、Base、Arbitrum、Optimism、Polygon、BSC、Avalanche、Scroll、Lineaなど
- 特徴:オンチェーンAMMとオフチェーンのRFQ流動性をまとめて検索。大口注文時の価格影響を抑えやすい
- 手数料:0x自体に追加手数料はなく、各DEXの手数料とガス代のみ
- 流動性ソース:Uniswap、SushiSwap、Curveなど + マーケットメーカー
- スリッページ:ユーザー設定可能(デフォルト約0.5%)
- 特記事項:RFQシステムによるMEV対策。ユーザーインターフェースがシンプルで初心者にも使いやすい
KyberSwap Aggregator:AMMとオーダーブックの統合
KyberSwap Aggregator
https://kyberswap.com/swap/ethereum
「KyberSwap」は従来から存在するKyber Networkの機能を拡張し、多数のチェーンとDEXを統合したアグリゲーターです。
AMM型DEXだけでなくオーダーブック型DEXも取り込み、実際の流動性状況をチェックしながら最適なスワップを実行します。さらに、AxelarやSquidといったプロトコルとの連携でクロスチェーンスワップにも対応しています。
- 対応チェーン:Ethereum、Polygon、Optimism、Arbitrum、Avalanche、BNB Chainなど14以上
- 特徴:AMM型とオーダーブック型両方の流動性を検索。70以上のDEXに加え独自のKyberPoolやRFQ市場も活用
- 手数料構造:プラットフォーム追加手数料は基本的になし。各DEXの取引手数料 + ガス代のみ
- スリッページ:ユーザー設定可能(約0.5%~1%程度)
- 特記事項:KNCトークンによるガバナンス・ステーキング機能を搭載
OpenOcean:CEXも統合するマルチチェーンアグリゲーター
OpenOcean
https://app.openocean.finance/swap/eth/ETH/BAD
「OpenOcean」は30以上のチェーンに対応しており、AMMやオーダーブックだけでなく一部のCEX流動性も取り込んで最適化します。
高度なアルゴリズムを用いてガス代の低減やスリッページ抑制にも力を入れており、多くのチェーンを跨いだ取引を一括で行う必要があるトレーダーには便利な選択肢となります。
- 対応チェーン:Ethereum、Solana、BSC、Polygon、Arbitrum、Avalanche、Baseなど
- 特徴:DEXとCEXの流動性をまとめて検索。ガス代・スリッページ・価格を総合的に最適化
- 手数料構造:追加のプロトコル手数料なし。各取引所の手数料 + ガス代のみ
- 流動性ソース:40以上のAMM、オーダーブック、CEX
- スリッページ:ユーザーが調整可能(デフォルト約0.5%)
- 特記事項:クロスチェーンスワップ対応。高度なアルゴリズムとインデックス情報を組み合わせた効率的ルーティング
deBridge:クロスチェーン資産移動を簡素化
deBridge
https://app.debridge.finance/
「deBridge」はクロスチェーンの資産移動に特化したプロトコルです。
従来のブリッジが抱える問題(専用プールへのロックや複雑な手続き)を軽減し、実際には各チェーン上の既存DEXを活用しながら、ネイティブ資産のように高速かつ安全な移動を実現します。MEVや価格変動リスクを抑えた設計が特徴です。
- 対応チェーン:Ethereum、Solana、Arbitrum、Avalanche、BNB Chain、Polygon、Optimismなど10以上
- 特徴:従来型ブリッジの資産ロックが不要。高速転送でネイティブ感覚のクロスチェーンを実現
- 手数料構造:固定手数料(ソースチェーンのガストークン)+ 変動手数料(約0.04%)
- スリッページ許容:クロスチェーン取引時はほぼゼロに近い(固定レートで実行)
- 特記事項:複数チェーンを一度にまたぐスワップが1回の操作で完結。MEVや価格変動リスクを大幅に低減
UniversalX:「One account, any chain」を実現
UniversalX
https://universalx.app/user/x/eringo515?inviteCode=LMGEKV
「UniversalX」はチェーン抽象化の概念を取り入れ、ユーザーが複数のチェーンにある資産を一元的に扱えるプラットフォームです。
ブリッジやチェーンを意識せずにクロスチェーンスワップを行えるため、初心者にも扱いやすいと評判です。加えて、ガス代を任意のトークンで支払う機能や、統一アカウントでの管理は非常に利便性が高いと言えます。
- 対応チェーン:Ethereum、BNB Chain、Arbitrum、Optimism、Base、Polygon、Linea、Solanaなど
- 特徴:チェーン抽象化プラットフォームで、複数チェーンをひとつのアカウントで管理可能
- 手数料構造:追加手数料は基本的になし。各DEX・ネットワークの手数料のみ
- 流動性プロバイダー:LI.FIやRangoなどのブリッジプロトコル、各チェーンのDEXを自動的に最適ルートで利用
- スリッページ:自動最適化(0.5%~5%程度)だがユーザーも任意に設定可能
- 特記事項:「One account, any chain」をコンセプトに、ガバナンス機能も搭載
Uniswap:AMMの代表格
Uniswap
https://app.uniswap.org/
「Uniswap」は最も著名なAMM(自動マーケットメイカー)DEXの一つです。
現在はEthereumやPolygon、Arbitrum、Optimismなどにも展開しており、v3の集中流動性モデルによって資本効率を大幅に向上させました。DEXアグリゲーター側の統合先としても必ず名前が挙がるほど、基本ともいえるプロトコルです。
- 対応チェーン:Ethereum中心にPolygon、Arbitrum、Optimism、Base、BNB Chain、Avalancheなど
- 特徴:AMM型の先駆け。誰でも流動性プールを作成可能で、v3では集中流動性を導入
- 手数料構造:流動性プールごとに0.05%、0.30%、1%など異なる。追加プロトコル手数料は基本なし
- スリッページ:UIで自由に設定可能(デフォルト約0.5%)
- 特記事項:クロスチェーン機能はまだ限定的。将来的にUniswapXで統合を目指す。UNIトークンでのガバナンス
PancakeSwap:BNB Chain最大手DEX
PancakeSwap
https://pancakeswap.finance/
「PancakeSwap」はBNB Chain上で誕生したUniswapフォークでありながら、独自のDeFi機能やYield Farming、宝くじ機能を備え、BNB Chainにおける最大規模のDEXとして成長しました。現在ではEthereumやAptos、Arbitrumなど複数チェーンにも展開しています。
手数料が比較的低い傾向にあり、流動性も豊富なため、BNB Chainをメインに使うユーザーには非常に便利です。
- 対応チェーン:BNB Smart Chainが中心。Ethereum、Aptos、Arbitrum、Polygon zkEVM、zkSync Eraなどにも展開
- 特徴:Uniswapフォークをベースに独自のYield Farmingや宝くじ機能などエコシステムが充実
- 手数料構造:BNB Chain上では0.25%(一部LP報酬、焼却などに配分)。チェーンごとに若干異なる
- スリッページ:UIで自由に設定(デフォルト約0.5%、必要に応じて高許容も選択可能)
- 特記事項:複数チェーン展開しているが、基本的にはチェーンごとに独立した流動性プールを管理。ガバナンストークンCAKEを軸にエコシステムを運営
まとめ
上記のように、DEXアグリゲーターやクロスチェーンブリッジの世界は多種多様であり、それぞれのプロトコルが特徴的なルーティングアルゴリズムや手数料設計、ガバナンスモデルなどを持っています。
1inch NetworkやParaSwap、KyberSwapなどのアグリゲーターは複数のDEXをまたいで最適なスワップを提供する点で頼れる存在です。また、deBridgeやUniversalXといったクロスチェーン専門のプラットフォームは、チェーンを意識しなくても資産や取引を管理できる利便性が魅力と言えるでしょう。
ユーザーの取引スタイルによって、使うべきプラットフォームは異なります。大口注文を低スリッページで実行したいのか、ガス代やブリッジ操作を極力省きたいのか、あるいは特定のチェーンをメインにYield Farmingを展開したいのか――目的に応じて最適なプロトコルを選択することが、DeFiを有効活用するカギです。
今後も新たなプロトコルや技術進化が期待されるため、最新動向を追いながら自分のニーズに合ったプラットフォームを積極的に活用していきましょう。